2013-01-01から1年間の記事一覧

六本木(下)

【承前】 正直なところを言えば、東京の六本木に来た最大の理由は、或る作品を見たかったからである。六本木通りを挟んで最初に北側に行った方が良いのか、それとも南側に行った方が良いのかとの小思案は、一番食べたいものを最初に食べるか、最後に食べるか…

六本木(上)

「黒のAMGに、金のエンブレム(或いは「黒のジャージに、金のネックレス」)」的な、80年代バブル混じりの「ギロッポン(≠ポンギ)」イメージをも彷彿とさせる、「黒」と「金」で構内全体がコーディネートされている都営大江戸線・六本木駅を降りた。果たし…

素人料理

「芸術」を「料理」に擬えて説明するのは確かに極めて剣呑である。そればかりか、時に「料理」の側が「芸術」を「参照」したりもするから、その関係は相互参照的に複雑で厄介なものになる。 例えば「フレンチの鉄人」坂井宏行氏は、「芸術」に擬えると「料理…

一枚の繪

最早それを一過的な「珍事件」として扱っても良いのではないかと個人的には思っている。海外メディアの多くは、その「説」に対して随分と踊って(踊らされて)いたが、結果的に幸いと言うべきなのか、それでもやはり不幸と言うべきなのか、国内メディアはそ…

風が吹き、桶屋はともあれ、そのあとになにが起きているのか

「営業」終了になった展覧会について書く。 2月3日に終了した「MOTアニュアル2012 Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」展(以下「風」展)は、「MOTアニュアル史上」最高レベルの入場者数になるらしい。会期終了直前に、入場者…

それ、それをそれと呼ぶことにしよう

2才になったばかりの幼児と展覧会に行った。会場は「博物館法」的にも真正の「博物館」である。 会場入口の受付で、2歳児は同展のフライヤーを欲しがった。暫く片手にフライヤーを持ちながら作品を見ていた2歳児は、やがて繋いでいたもう片方の手を離して壁…

新政府(及び空似)

【承前】 今回もまた、連日夜19時から翌日の11時半までが、与えられた展覧会巡りの時間だった。従って11時半から19時までに限られている展覧会は全て割愛した。それらの展覧会には縁が無いと思う事にする。 さて、今回の展覧会巡りの初っ端、火曜日の午前11…

アーティストは何から作品をつくっているのか

東京で二番目に古いとされている、1929年創業の中華そば屋から築地方向に2ブロック目の角にナチュラルローソンがある。そのナチュラルローソン脇の階段を降りた地下一階は現代美術ギャラリーだ。ラーメン屋繋がりで言えば、嘗て東京都練馬区に存在した会員制…

風が吹けば桶屋が儲かる(再)

あちらこちらから時間と交通費数万円を掻き集めて、ようやく東京都現代美術館を再訪する機会を得た。前回実質45分の駆け足で見た「MOTアニュアル2012 Making Situations, Editing Landscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」展(以下「風」展とする)の「リベンジ…

緩衝の誕生

【承前】 ここ1〜2年で話題になった駅舎は、やはり東京駅と大阪駅という「東西両横綱」という事になるのだろう。2011年の5月4日に5代目駅舎となって「グランドオープン」した大阪駅(大阪ステーションシティ)は、プラットフォームを覆うドーム型屋根が話題…