2017-01-01から1年間の記事一覧

不純物と免疫 02

◯ #トレーラー ヘッドフォンから流れる本展の概説が終わる。 暗闇に光る明るい矩形が入口だ。その奥に、有孔ボードを背にした幼児の背の高さ程の、灰色をした一本の細長い高圧気体ボンベが見えている。緑色(液化炭酸ガス)でも黒色(酸素ガス)でも赤色(…

不純物と免疫 01

◯ #共存 円周上に6つの点があるとする。それらを結ぶ線の数は15本という事になる。或いはまた、円周上に24個の点があるとする。それらを結ぶ線の数は276本という事になる。それは「不純物と免疫」展というパッケージを円周と見立て/単純化し、作家数6、作…

不純物と免疫「序」

◯ #多様 【知事】それから、ガラッと変わりまして、現代アート、現代美術の分野の新しい取組についてのお知らせです。これまで都は、トーキョーワンダーサイトの本郷、渋谷、墨田区立川、この三つの拠点を活用してまいって、若手アーティストの発掘・育成支…

引込線2017

2008年に行われた「所沢ビエンナーレ・プレ美術展2008 —引込線—」(以後「プレ展」)から始まった「引込線」。10年目となる今回の「引込線 2017」(以後「2017展」)は、その第6回目だという。 プレ展 2008年の「プレ展」と、翌年2009年の「第一回 所沢…

やわらかな脊椎

大寺俊紀+乙うたろう「やわらかな脊椎」展の周回軌道上をグルグルと周る。 尚、同展の作品はバッテリー上がりの為に撮影していない。下掲レビューや、美術手帖2017年10月号の副田一穂氏の月評(208〜209ページ)等に掲載の画像/写真を参考にして欲しい。 …

國府理「水中エンジン」redux

ラテン語の “reducere"(to lead back)から生まれたという “redux" は、様々に日本語訳可能な単語だ。 例えば「続編」としての “redux" がある。「前作」の主人公の「その後」を描くジョン・アップダイクの “Rabbit Redux" (邦題「帰ってきたウサギ」)な…

裏声で歌へ【後編】

【承前】 「間々田」の町が語り掛けて来るもので、既にお腹は一杯になってしまった。しかし展覧会は「別腹」だ。前者は「白米」の様なもので、後者は基本的にキュレーターと呼ばれるパティシエが作る「ケーキ」だ。 スポンジケーキとシャンテリークリームと…

裏声で歌へ【前編】

4月某日、JR東日本東北本線(愛称宇都宮線)の間々田駅――1日乗車人員数4,000人前後――を降車した。橋上駅舎の改札機に PASMO をタッチする。1,317円がマイナスされた。目指すべきは西口方向であると、型落ち iPhone 中の Google Map 先生が教えてくれる。遠藤…

クロニクル、クロニクル!(2017)

【序】 おばあちゃんのたんじょうび会がはじまった。お客さんが沖縄の楽器、三線で、“カチャーシー”をひくと、みんながおどりだした。おばあちゃんはかた手にムーチーをもちながら、おどっている。おばあちゃん、たのしそうだった。「いろんなこと、わすれた…