2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

墓は語るか【序】

【序】 展覧会の周囲をグルグルと巡る。 - 国木田独歩の「武蔵野」の冒頭はこう始まっている。 「武蔵野の俤(おもかげ)は今わずかに入間(いるま)郡に残れり」と自分は文政年間にできた地図で見たことがある。そしてその地図に入間郡「小手指原(こてさし…

報告会

京都市営地下鉄烏丸線の今出川で降車し、出口1を上がって行くと、いきなり脳内にブラームスの「大学祝典序曲」が流れ、古い「螢雪時代」の表紙が浮かんで来た。一帯は煉瓦だらけである。自分の大学生活には全く縁の無かった風景に戸惑うと同時に、少々気が滅…

空想の建築

会期自体1ヶ月半前に終了し、観覧してからも随分と経過してしまった展覧会を「巡って」書く。決して展覧会に「対して」では無いが、「対して」とクロスする箇所があるかもしれない。時期を逸しているのは承知の上だが、時期を問う展覧会でも無さそうなので、…

「本の梯子」「慈雨 百合 粒子」「秘密の湖」

休憩ヲ為サシムルニハ左ノ號令を下ス 「休メ」 此號令ニテ生徒ハ姿勢ト動カザルトニ意ヲ留ムルコト無ク片足ヲ舊位二置キ其場二立チテ休息ス 「休メ」ノ號令アルトキノ外随意二動クヲ得ズ又休憩中ト雖談話シ或ハ猥リニ位置ヲ離ルルコトヲ禁ズ 注意 休憩は遊戯…

ハルトシュラ

散らかったままに。 - 大阪ミナミの西南端、阪神高速1号環状線と15号境線の分岐という巨大構造物で、心理的に繁華街がすっかり切断されてしまった位置にあるそのビルの前に行くと、白い筐体にシルバーの水玉が全面に施された自動販売機があった。上部には半…

ホームビデオ

【承前】 自分が生まれた家でこれを書き始めた。この家には自分以外誰もいない。 家からそのギャラリーまでは歩いて15分。随分とあの辺りも変わった。そこに至るまでの町並みも変わった。自分の記憶の古いレイヤーですら、大部分が直近の風景で塗り潰されて…