2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

つくられたもの/つくられていないもの

【承前】 もう少しだけ枕。 - 國破山河在 城春草木深 感時花濺涙 恨別鳥驚心 烽火連三月 家書抵萬金 白頭掻更短 渾欲不勝簪 杜甫「春望」 松尾芭蕉ならば、これに続けて「笠うち敷きて時のうつるまで泪を落し侍りぬ」と書き、「夏草や兵どもが夢の跡」と、無…

風流2.0

【承前】 雪やこんこ 霰(あられ)やこんこ。 降つては降つては ずんずん積(つも)る。 山も野原も 綿帽子(わたぼうし)かぶり、 枯木(かれき)残らず 花が咲く。 雪やこんこ 霰やこんこ。 降つても降つても まだ降りやまぬ。 犬は喜び 庭駈(か)けまは…

風流

【承前】 例えば美術館に行き、そこにある美術作品(どの時代のものでも良い)に対して、茶でも啜りながら(と言うか、そもそも美術館の展示室は飲食禁止なのだが)「風流ですなぁ」などと言って、「しみじみ」としたり、「ほっこり」としたりする様な観客は…

焦燥

【承前】 そういう訳で、動物園にしても、美術館にしても、博物館にしても、それは明治の初年に、突如として平たい顔族の日本の地に現れたものだ。時経て、昭和から平成に掛けては、動物園にしても、美術館にしても、博物館にしても、それが出来れば、多くは…

動物園

日本最初の動物園は、1882年(明治15年)3月20日に開園した東京・上野動物園という事になっている。 前身の「山下門内(山下町)博物館附属動物飼育場(明治6年〜明治15年:東京内山下町・現東京都千代田区内幸町一丁目)」は、70坪(約231.4 平方メートル)…

【承前】 「象徴主義」の画家とも、「世紀末芸術」の画家とも、「表現主義の先駆者」とも言われるフェルディナンド・ホドラーの晩年は、妻とは別の、20歳年下の女性美術教師、ヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルと共にあった。1908年、55歳のホドラーがヴァラン…

課程

【承前】 日曜日の東京の竹橋は、ゴーストタウンだ。毎日新聞社から地下鉄駅に降りる階段には、こういう看板が出ていた。 誘われるままに行ってみる。するとこういう看板が出ていて行く手を阻まれる。 まさに大どんでん返しだ。ならば最初の看板上にこそ、日…

纏ったもの

【承前】 それにしても「ぬぐ絵画」なのである。 或る意味で、このタイトルは、画家の描くそうしたものの本質を、かなり見誤っていると言える。「デッサン室」や「アトリエ」で、「ヌードモデル」を前に、実際に絵を描いた事の無い人、或いは芸術家の実際を…

パレルゴンショー

【承前】 2011年11月15日から、2012年1月15日まで、東京国立近代美術館では「ぬぐ絵画―日本のヌード 1880-1945」が開催されているそうだ。 今日も盛んに描かれ続ける、はだかの人物を主題とする絵画。絵といえば、風景や静物とともに、まずは女性のヌードを…

はじまり

【プロローグ】 チャールズ:ダーウィンに端を発するとされる、所謂「進化論」を全否定する思想を持つ人々の数は、地球上の無視し得ないパーセンテージを占める。 http://j.people.com.cn/95952/6593652.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%…

見落とされるもの

【承前】 多摩美術大学美術館で開かれていた「考える葦」展の「吉田哲也(及び若林砂絵子)」について書く筈なのだ。しかしもう少し脱線する。 - 「保育カレンダー」というのを買ってみた。1ヶ月毎に保育園児の「絵」が、4色フルカラーで印刷されているとい…

生老病死

現在放映中のサザエさんの、東京都世田谷区新町3丁目51番地の家は、築何年なのかは判らない。そうしたものの考察は、「東京サザエさん学会」辺りに任せておけば良いものの、しかし福岡で羽振りの良かった波平氏の突然の転勤に伴う、磯野家、及びフグ田家全員…

モッサリ

先日の思いつきどおり、後期試験は、オカンアートミュージアム設立準備室学芸員に任じられたがそれを如何に企画・展示するか?という課題に決めた。課題内容の説明(指示書)をメール配信する手続きを終え、きょうは終了。https://twitter.com/#!/nakashima001…

銀座「不在」

さて、あの歌舞伎座はどんな建物であっただろう。仮囲いとなったそこに対して、未だ「あの歌舞伎座」と言える状態には辛うじてある。その内に新しい歌舞伎座が出来て、「あの歌舞伎座」とはなかなか言えなくなるだろう。その時「あの歌舞伎座」は、「旧歌舞…

忽然領悟

【承前】 自分の庭に、「位相ー大地」を「勝手」に作ってしまった紳士の話。それを続ける前に。 - 語り継がれてきた「話」だ。一人の男がいた。仮に男Dとしておく。 男Dは、人から質問されると、必ずただ一本指を立てるだけだった。或る日、男Dの下に客人が…