2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

待望

【承前】 それが「善き事」であるとされているからこそ、「近代の超克」という定立はその価値を持つ。「近代の超克」が端的に「悪しき事」、或いは「近代のままで全く構わない」や、「一刻も早く近代になりたい」が支配的な場所では、「近代の超克」という定…

転換

【承前】 「きんだいのちょうこく」という音から「近代の彫刻」と脳内変換する人は多いだろう。特に「芸術」関係の人などは、「近代の彫刻?ああハーバート・リードね」という事で、" Modern Sculpture: A Concise History (Herbert Read) " を思い浮かべる…

拘泥

【幕間】 「僕は『壁派』だったからね」 その画家はそう言った。朧気ながら「壁派」と呼ばれる傾向を持つ一群の作品が、今から半世紀以上前に日本に存在した事を思い出した。 「その頃は貧乏だったから、絵具を買えなくてね。だから土を拾ってきて、それを絵…

弁明

【承前】 はてダのエントリーが更新されていた。いや自分のそれではない。敢えてそのエントリーをざっくりとカテゴライズすれば、それは「弁明」であろう。 べん‐めい【弁明・辯明・辨明】 〘名〙スル 1 事情などを説明してはっきりさせること。「事のやむ…

模範

【承前】 久し振りにメーラーの中に溜まりに溜まった「アート関係者約1000人による、情報交換・意見交換のメーリングリスト」aw-ml(の件名部分)に目を通していた。全くそれは何の気なしの気紛れであった。と言うか、「約1000人」だったんだと、今コピペし…

商売

【承前】 「今こそ、アートの力を。」 2011年5月のとある週末2日間に行われた「アートフェア京都」の「スローガン」である。烏丸という地方都市京都の、こじんまりとした中心部にあるホテルで、エレベーターを結婚式招待客と共有しつつ昇って行くと、やがて…

迷惑

【承前】 本来の予定では、今度こそ次にアドルノの「文化批判と社会」について続編を書こうと思っていた。しかし、次から次へとアドルノが草葉の陰で微苦笑するだろう文化の野蛮が引きも切らずに現れてしまうが故に、今日もまた脱線なのである。果たして本線…

自首

【承前】 本来の予定では、次にアドルノの「文化批判と社会」について続編を書こうと思っていた。こうした有事の際には、必ずと言って良い程、文化という野蛮(アドルノ)が、社会の混乱に乗じる形で、野蛮のブルドーザーを出動させるからだ。 有事になると…

野蛮

【承前】 ”Nach Auschwitz ein Gedicht zu schreiben, ist barbarisch”。 通常日本語ではそれは「アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である(「ちくま学芸文庫」)」と訳されている。テオドール・W.アドルノ(Theodor W. Adorno)の「プリズメン—文…

擬制

【承前】 東京新聞 2011年5月2日 07時08分 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011050290070836.html 「それ」を「愉快犯」の仕業によるものとするも、極めてディレッタント好きのする「芸術テロリスト」の仕業によるものとするも大した問題では無い。そ…