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窮迫

今週の「週刊東洋経済 10月16日号」の特集は、「本当に強い大学 2010」だ。「2010年版大学四季報 国公立・私立181大学の財務分析を一挙掲載」という「特別付録」の綴じ込み小冊子が付いている為に、通常よりも90円高い780円の「特別価格」となっている。

改革加速こそ生き残る道
本当に強い大学 2010


明日を担う人材をどう育てるか。選ばれる大学になるためには「面倒見のよさ」が決め手の時代に。


Part1: 改革迫られる大学経営
Part2: 役に立つ大学とは
Part3: どうなる基礎研究


http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/toyo/detail/BI/66bf1605097264ded435c10a97917880/

最近になって「大学」を特集した経済誌には、先月9月13日に発売された「週刊ダイアモンド 9月18日号」があった。こちらの特集記事は「壊れる大学」である。

http://dw.diamond.ne.jp/contents/2010/0918/index.html

「週刊ダイアモンド」の「『財務状況』ワーストランキング」の俎上に載せられた大学は、「週刊東洋経済」よりも多い「全国537私立大学」となっているが、その一方で「週刊東洋経済」が扱っている国公立大学は省かれている。

大学の「財務状況」が取り沙汰されるのは、一にも二にも、従来的な需給バランスが崩壊した事による。現在の日本の「大学」は、売り手市場ではなく、完全な買い手市場だ。そもそも経済誌とその読者は、こうした「過渡期」の「業界」にスポットを当てる事を好む。今週号の「週刊ダイアモンド」の特集「電子書籍入門」もまた、「出版業界」が、「大学業界」と同じく「過渡期」にあるからだろう。それはさておき「週刊ダイアモンド 9月18日号」の記事から引く。

すでに見えている未来がある。人口動態だ。1992年のピークから6割にまで減った18歳人口は、今後とも緩やかな減少が続く。すでに多くの大学が学生確保に難渋し、財務問題に苦慮する。状況が好転することはない。大学教育現場の悪戦苦闘はさらに深まる。取り巻く環境は激変し、大学は大きく変質した。最高学府たる大学は壊れつつある。


Part 1 瀬戸際に追い込まれた大学


大学全入時代である。えり好みしなければ、誰でも大学に入ることができる。入学定員割れを起こしている大学は全体の4割強、赤字大学も4割近く。今後、環境のさらなる悪化は間違いない。すでに始まっている淘汰・再編はさらに大きな波となる。


都築学園グループの正念場
本誌独自判定「危ない大学30」
崖っぷちに立った創造学園
東北文化学園大学「苦難の6年」
「募集停止大学」の今
公立大学転換の潜在リスク


Part 2 大学ルポ・生き残り大作戦


大学は大きく変質している。実質的な「大学全入時代」に突入し、学生獲得競争は激しくなる一方だ。大学生もまた変質している。大学に求められるものは、大きく様変わりした。二つの大波に晒され、もがき苦しむ大学の生き残り作戦を追う。


AO・推薦入試乱発の実情
「青田買い」体験ルポ
就活支援にあの手この手
「面倒見のいい大学」奮戦記
高校の先生が評価する大学


Part 3 驚愕の学歴ロンダリング


マネーロンダリング資金洗浄)ならぬ学歴ロンダリングが今、水面下でじわじわと広がっている。難関大学の大学院が志願者不足で簡単に入れることを利用して、最終学歴をロンダリングしてしまおうというのだ。その驚愕の実態を追った。


東大卒の肩書で一発逆転
東大、早慶も面接だけで合格


Part 4 「財務状況」ワーストランキング


大学内部の財務への問題意識はおおむね低い。だが、定員割れ、経営窮迫の負のサイクルにのみ込まれると、容易には抜け出せない。財務状況には厳しい目を向けてしかるべきだ。全国537私立大学の財務ランキングをその材料としていただきたい。


「週刊ダイアモンド」の「財務状況」ワーストランキング。思わず目を疑いたくなる様な甚だしい事例を含め、一般企業で言うところの「経常利益(損失)」に相当する「帰属収支差額」は、大学法人の44.3%、短期大学法人の55.9%が赤字になっている(数字は「週刊東洋経済」による)。「帰属収支差額」は、「週刊ダイアモンド」の説明を借りれば「授業料・入学金、国からの補助金などの収入(帰属収入)から、人件費、教育研究経費など経常的な経費(消費支出)を差し引いたもの」である。そのプラマイ率が「帰属収支差額比率」であり、当然の事ながらマイナスが大きければ、その大学の経営は窮迫しているという事になる。

では、果たして「美術大学」の「財務状況」はどうなっているのか。両誌から拾ってみる。

【続く】