樹海

【承


「恐怖の形象」を出す事無く、「怪物」を描くシナリオは、例えば以下の様な物になるだろう(以下フィクション、念為)。

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シーン1

午前11時。銀座松坂屋。店内は女性で溢れている。そこに血相を変えた一人の女性が現れる。

「さっきお宅で買ったバッグ、とんでもない不良品だったわ」

女性の話によれば、バッグの内側のファスナー取付部に小さな焼け焦げがあるというのだ。

「煙草の火かなんかが入ったんじゃないの。ちょっとこれってひどすぎない?」

店員が猛る女性を平身低頭なだめつつ、バッグの裏側を点検すると、確かにファスナーの取付部に小さな焼け焦げがある。店員は「モンスタークレーマー」の可能性を疑い始めた。すると、その遣り取りを聞くともなく聞いていた店内の客の間から怒声が上がり始める。

「これにも焼け焦げがあるぞ」

「こっちにも」

「ああこれはひどい

慌てて店内の商品を点検する店員全ての顔がみるみる青ざめていく。どの商品にも焼け焦げがいつの間にか付いている。一人の店員が、バックヤードの商品を調べに行くと、そこには煙が立ち上り始めている。

急いで客を店外に避難させる店員。ビル全体に火災報知器が鳴り響く。店内のスプリンクラーが作動する。水浸しになる店内と商品。店の外には大型の消防車が何台も駆け付ける。

客が全員避難した事を確かめて店外に出た店員と入れ替わりに、消防隊員が店内に入る。しかし、結局消火作業らしき作業も行われず、結局この一件は「ボヤ」として始末される事になった。ただ消防が訝んだのは、火元が全く特定出来ない事だった。この「ボヤ」は、「ほぼ同時」に商品自体が発火した事によって引き起こされた様にしか思えないものだった。

新聞は「銀座松坂屋でボヤ騒ぎ。バッグが発火源か?」と、使用している材料に問題があるかの様に書き立てた。「バッグの接着剤に問題ありか?」。当然松坂屋側はそれを否定した。扱っている商品のブランドは多岐に渡るからだ。しかしそれが同時に発火したのだ。原因は全く掴めない。


シーン2

同日22時40分。閉店間近の銀座ライオン。この日も店内は客で一杯だった。帰り支度をし始めた客が並び始めたレジ。すると突然菅原栄蔵の柱の一本がミシミシと音を立て始める。次の瞬間、柱に埋められた数枚のタイルが、レジに並ぶ客の顔を目掛けて高速で飛んでくる。悲鳴。顔からダラダラと血を流して泣き叫ぶ若い女。うずくまる中年男。誰一人として一体何が起きたのか判らない。何故タイルが横に飛んでくるのだ。何故だ。狭い出口に殺到する客。修羅場。


シーン3

同日23時01分。銀座4丁目交差点付近を歩いていた通行人の上に、和光の時計塔の長針が落ちてくる。30歳OL。全身打撲で救急車搬送されるものの、2時間後に死亡。目撃者の話。「時計の針が真っ直ぐではなく、斜め方向に落ちてきた」。確かに落下場所は和光から有楽町寄りの地下鉄A1出口付近だった。当時、銀座に強風は吹いていなかった。


シーン4

博多発のぞみ64号。品川駅を23時25分に出てから徐々に減速モードに入る。23時29分。突然有楽町付近でガタガタと車体が揺れ出す。緊急停止。脱線。数十メートルに渡って枕木からレールが外れていた。乗客は有楽町まで軌道上を歩いて行く。気分が悪くなって線路上に寝かされる乗客。しかしこの日、銀座では同時多発的に「事故」が起こり、救急車が出払っていた。気分が悪くなる程度では、救急車の世話になる訳にも行かなかった。


シーン5

聖路加病院は野戦病院の趣を呈していた。


シーン6

翌日8時50分。銀座8丁目博品館前。二人のサラリーマン。

「昨日の銀座は大騒ぎだったよな」

「ライオンの壁が崩れたんだって」

「中は古いからな」

松坂屋のボヤは昼休みに見に行ったけど、結局あれって何だったんだろう。放火か」

「それは無いらしい。と言うか原因は掴めないらしい。でもどっちにしても今日は臨時休業らしいけど」

「そりゃそうだよ。商品なんか水被っちゃって、売り物にならないよ」

「和光の事故なんか泣くに泣けないよな」

「あれは女の子可哀想。テレビで父親が出てたけど悲痛だよな。当面和光も閉まるらしいよ」

「おまけに新幹線だ」

「今日は朝から動いてるらしいけどね」

「これから会議に出てから大阪に出張だぜ。勘弁してくれよ。それでなくても昨日から体調最悪だってのに」

「おまえもか?俺もだよ」

「それは良いけど、何だか天國が騒がしくないか」

ハナマサも何だかワサワサしているな」

その時ピキッと背後で音がする。ガシャン。振り向く信号待ちの通行人。見るも無残に博品館のショーケースのガラスが割れている。その前をサイレンを鳴らして通り過ぎる救急車。そして消防車が続く。交番勤務の警官が自転車を飛ばす。信号待ちのクルマから流れてくる交通情報。

交通管制センター「首都高八重洲線は、新橋出口付近の路面が、約50メートルに渡って舗装が剥落した為に、現在上下線とも閉鎖されています」

アナウンサー「さて先程からの電車状況の続報ですが、東海道新幹線は、品川駅付近で送電線からの送電がストップした為、上下線とも現在不通になっています。運転再開の見込みはまだ立っていないとの事です」

評論家「昨日の事故もそうですが、JRは本当にしっかりして欲しいですよね。これは組織的に根深い問題かもしれませんよ」

サラリーマン。

「おい、新幹線動いてないってよ」

「今から羽田か」

「ったく」


シーン7

同時刻、銀座ライオン店内。ヘルメット姿の作業員が顔から血を流してうずくまっている。駆け付ける救急隊員。

「どうしましたっ!」

「タイルが顔に飛んできて」

指差す方向を救急隊員が見ると、ライオン自慢のタイル画の一部が剥落している。どうやらそれが目に入ったと言いたいのだろう。

「あつっ」

入り口付近で声がする。派出所の警官が倒れている。同じ様に顔から血を流している。

パキンッ。

救急隊員の顔の傍をタイルが高速でかすめる。

ここは危険だ。

「全員外に出ろっ!ここは危険だっ!」


シーン8

同時刻、松坂屋前。野次馬。

「またボヤだって」

「服が燃えたらしいよ」

「何やってんだろうね。松坂屋

ハナマサと天國は店内がグチャグチャだったけど。一体何が起きたんだろう」

「テロだよ、テロ」

その二人だけが日本語。周りの野次馬は中国語で何か言っている。


シーン9


同時刻、羽田空港管制塔。沖の東京湾に黒い煙。南海汽船の貨物船火事。出発到着の全てが欠航。

「迷惑な話だよな」

すると貨物船から白い波頭が現れる。やがてそれは「津波」となり、滑走路目指して近付いてくる。冠水する滑走路。作業員二名が海に連れ去られる。しかし地震の情報も、津波の情報も入ってきてはいない。


シーン10

国会衆院予算委員会NHKのテレビ中継が入っている。やがて中継画面がブレ始める。色めき立つ国会議員

地震だっ」

「只今国会議事堂が揺れております。皆さん慌てずに行動して下さい」

しかし一向にテレビ画面には「地震情報」のテロップが入らない。

日本で只一カ所、国会議事堂だけが震度6で揺れている。


シーン11

テレビ朝日報道ステーション」。

古舘伊知郎「これはテロなんでしょうか。原因不明の事故が東京で続いています。昨日から本日に掛けて起きた謎の事故を、こちらの地図で見てみましょう」

羽田、品川、芝浦、田町、三田、浜松町、増上寺、新橋、銀座、有楽町、日比谷、霞が関紀尾井町、市ヶ谷、水道橋、御茶ノ水秋葉原上野広小路、上野、浅草、隅田川沿い、築地。


シーン12

そして翌日もまた、松坂屋は謎のボヤ騒ぎ。その後も連日ボヤが起きた松坂屋は、やがて銀座から撤退する。品川から浅草に掛けての店々は軽微なものも含めて、何らかのトラブルが起き、沿道のビルからは常に何かが落下する。外装タイル1枚といったレベルから、鉄骨レベルまでが時と場所を選ばず落ちてくる。道行くクルマは車体がボコボコ。地下道や地下鉄構内も、崩落箇所ばかりだ。

有楽町ガード付近の線路は常に外れて電車の運休が続き、首都高は少しずつ崩壊が進んで閉鎖が続き、羽田の滑走路は冠水が常態になる。揺れの続く国会議事堂も閉鎖。ボロボロになっている事が当たり前になった都内には、人が少なくなり、銀座はシャッター通り化し、誰もその荒廃に気を留めなくなった。荒廃が日常化した。正体の見えない「謎のエネルギー」が、東京を少しずつ壊し始めていた。

「祟り?」

そうした声が聞こえ始めた矢先、東京に最後の止めを刺す事実が明らかになる。


シーン13

秋葉原。ここも徐々に壊れ始めている街だ。

何の酔狂かは知らない。アーティストだと名乗るその人物が、秋葉原のガード下の電子パーツ屋に現れたのは、都内で正体不明の事故が頻発してから2日目の事だった。

ガイガーカウンター、欲しいんやけど」

滅多に出るものではないが、それでも数ヶ月に一個は出て行く商品だ。関西人だが、大阪の日本橋では手に入らないので、芸術大学関係の仕事で東京に来たついでに、秋葉原でそれを購入しようと思ったのだという。それを放射能をテーマにしたアート作品に使用するのだと話すアーティスト。

店主は数ヶ月ぶりにその機械のスイッチを入れる。すると目を疑う様な恐ろしい数字が現れた。

「さっきからガリガリ鳴ってんやけど」

「こ、これは。ちょっと」

慌てて他の在庫品の電源を入れる店主。

ガリガリ。

他メーカーの商品も試してみる。

ガリガリ。

「だとしたら」

「は?」

「だとしたら、あたしら」

「は?」

「被爆者だ」

「は?」

「お客さん、あんたもだよ」

「あのぅ、ガイガーカウンター欲しいんやけど、どれがおすすめやろか」

「のんきな事言ってんじゃないよ。もうどれでも同じだよ。性能の違いなんて無意味なんだよ。あたしも、あんたも、ここにいるみんなも、外を歩いているのも、全部被爆者なんだ。あんた、もうしばらく関西帰れないよ。それどころかここで死ぬかもしれんよ」

慌てて店仕舞いする店主。そして隣の店へと行き、全ての事情を話す。

秋葉原中にその話が回るのに時間は掛からなかった。電気関係の秋葉原人は色めき立ち、その情報網の外にある萌え関係の秋葉原人は相変わらず萌えていた。


シーン14

テレビ番組が全て報道番組に切り替わる。

「緊急報道 衝撃!都内全域がチェルノブイリ級の高濃度放射能汚染


シーン15

ヨウ素131,セシウム137,ストロンチウム90,ルテニウム106…そうした単語が引っ切り無しにテレビから流れる。半分涙目の女子アナが「私たちも被爆者です」と言う。

ガイガーカウンターを持った防護服で、完全防備した警察の必死の捜索にも拘わらず、一つも放射能汚染物質は発見されなかった。それは当然だった。どれが汚染されているとか、汚染されていないとかではなく、東京それ自体、住民それ自体が、等しく放射能汚染物質に変化していたのだ。従って、合理的に考えれば、警視庁の警官が防護服を着る事は無意味だった。

放射能の「高汚染地域」と、一連の「謎の事故」の頻発地帯は、何故か重なっていた。芝浦ふ頭を始めに、田町から日比谷通り、外堀通り、銀座通り、晴海通り、内堀通り、新宿通り、市ヶ谷から外堀通り、中央通り、浅草通り、駒形橋から隅田川で築地まで。

報道番組に切り替わる直前のワイドショーから出演していた評論家が言う。

「この一連の謎の事故の分布と放射能。それはあのゴジラを思い出させます。でも目に見えるゴジラだったら、我々はどれだけ楽だった事でしょう。ゴジラ的なものであれば、我々はそれが無駄だと判っていても、そうした脅威に対して対抗手段を取る事が出来ました。それで精神的なバランスを幾らかでも取れた事でしょう。でも今回のこれは、その原因が誰にも見えないのです。誰もこれに対してどうすれば良いのか判らないのです。そして何も判らずに、被害だけが少しずつ大きくなって行く。誰が一体、何の目的で、都内をこれだけ広範囲に放射能汚染させたのかすら、恐らく永遠に誰も知り得ないのです。そして、都内からどれだけの放射能汚染物質が出ていったのかも判らないのです。これ程絶望的な状況もありません。そして僕もまた被爆者です」


シーン16

画廊。防護服に身を包んだ3名が現れる。

「先程お電話した者です」

「どうしても駄目なんですか。これは人類の宝なんですよ」

「例外は認められません。これらの放射能廃棄物はドラム缶にコンクリート詰めして、地中深くに埋める事が決められています」

「廃棄物だなんて。人類の損失だと思わないんですか」

「優先されなければならないものは、他に幾らでもあります」

いずれコンクリート詰めされる物に対して、取り扱い上の注意を払う必要もない。防護服の男たちが立体作品を掴むと、フラジャイルなそれはボロボロと崩れ落ちた。防護服の内側で舌打ちがした。

ギャラリストはその場に崩れ落ちた。しかしそれは被爆故にだった。


シーン17

国立近代美術館前。数台のコンクリートミキサー車。これから美術館の出入口をコンクリートで固め、放射能半減期が来るまで、一切の美術品公開や貸出等を禁止する事が決定された。同時にあらゆる放射性廃棄物の一時保管場所として、ここを使用する事も決定する。ここがコンクリート詰めの「工場」になる。

今回の放射性廃棄物は、少し前までは「商品」であった物全てだ。ブランド物のバッグ、宝石貴金属、芸術作品…。それら全てが今、単に放射性廃棄物と呼ばれる。


シーン18

銀座。都心はすっかりゴーストタウンとなった。建物が灰燼に帰してしまったのなら、まだしも救いがある。ならばリセットされたそこに、新たな未来を作れば良い。しかし映画の様な、目に見えるカタストロフも無く、街は単に徐々に荒廃していっているだけだ。建物は崩壊し切っている訳でもなく、しかし完全な形でもない中途半端な姿で放置されている。しかしそこではあらゆる人間の活動が停止している。

「その時」に都心にいた人間の大半は、ベッドの上にいるか、鬼籍に入ってしまった。旧都心のエリアは立ち入り禁止区域となった。多くの企業が倒産した。日本政府は一旦壊滅した。行政も一旦壊滅した。突然働き口の無くなった東京「都」の人口は、200万人になった。

東京の放射能汚染が明らかになったその日に、その1ヶ月後にこの世の人では無くなった評論家が言った「ゴジラ」が、いつしかこの災厄に対しての呼び名になった。「怪異」な災厄そのものを人は受け入れられない。その「怪異」に名を付け、貧困な想像力によるイメージを付加してきたのが人類だとも言える。

その一つが「妖怪」や「怪物」だろう。「妖怪」や「怪物」をイメージの対象とする事で、「怪異」を理解可能な形にして、自分の手の届く範囲に留めておきたい。原因不明の放射能と物理的破壊。これらに「ゴジラ」という名称と、生物的イメージを付加する事で、何も変わる訳ではない。しかしそうする事で人は安心したいのだ。「怪異」そのものに狂わない為に、「ゴジラ」という「恐怖の形象」が必要とされた。「恐怖の形象」は、精神を安定させ、安心する為にこそ存在する。人は「怪獣」の存在を切望していた。或いは「異星人」や、「某国の陰謀」や、「テロリスト」や、「神の意志」が切望された。それらによる災禍なら、いっそそちらの方が気が楽だ。しかしやがて、人はそれらを待ち続けるのにも疲れた。

科学は、何故突然に東京中の放射能値が上がったかの説明が出来なかった。一連の原因不明の「怪異」にも、何一つとして説明が付けられなかった。「オカルト」に陥る事を避ける為、科学は沈黙を選択した。その原因は、科学的説明を成立させる観測の外にあった。街には「宗教」が流行る。「ゴジラ」という生物的なイメージに翻案された「怪異」を、「慰め」「鎮める」為に、数々の「宗教家」が現れては消えた。しかし「怪異」に「宗教」は無力だ。人が「怪異」にどう対処するかを指し示す事位しか「宗教」には出来ない。或いは、これを「黙示録」として語り、その信ずるところの価値を上げる以外に「宗教」の選択肢は無い。そして「怪異」自体には、あらゆる「言葉」は届かない。

こうして旧都心は、荒廃と共に、人の記憶からも消し去られた。そこは今後永遠と言って良い時間、開発される事の全く無い未開発地帯になった。


シーン19

早朝。東海道新幹線綾瀬駅。東京駅に代わって東海道新幹線の起点となった新駅。放射能汚染地域から半径30kmの圏外に存在する。旧都心を中心に、神奈川県、埼玉県、千葉県に渡って、半径30kmの長大な塀が設けられている。人の侵入を妨げる目的で設置されたものだ。中の「怪異」の正体が判らない以上、この塀は「怪異」の拡散防止には何の意味も無いかもしれない。しかし、これを幾ら堅固に高く作っても、「怪異」は易々とそれを乗り越えてしまうかもしれない。

綾瀬中華街の崎陽軒シウマイ弁当を買って関西に出張するサラリーマン。出発を待つのぞみの車内。

「大阪本社では、うちら旧東京組はすっかり難民扱いだからな」

放射能がうつるだもの。針の筵だ」

「札幌出張はどうだった」

「遠い。本当に遠い。疲れた」

車内アナウンス。

「お客様にお知らせいたします。当列車、のぞみ99号博多行きの出発時刻が過ぎておりますが、現在停止信号が解除されません。今しばらくお待ち下さい。お急ぎのところ、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」

「やれやれ」

顔を見合わすサラリーマン二人。

サラリーマンの一人の携帯が鳴る。メール。

それを見る。顔を上げる。

「止めよう。大阪行き」

「ん?何で」

メールを見せる。

「もうこれ以上被爆する事も無いよ」

「そうだな。行っても何の意味も無い」

車内に次々と携帯の着信音が鳴る。

新幹線から降りる二人。続々とその後に続く乗客。誰も新幹線車内で発車を待つ者などいなかった。

「もう一生新幹線には乗らないだろうな」

「ずたずただもんな。新幹線も無くなるだろうよ」

16号車。ホームの端。そこから「塀の中」の世界が見える。嘗てビル群と呼ばれた構築物が立ち並ぶ原野には、緑の量が増えていた。日本列島の真ん中に、空虚な、森と廃墟だけの巨大な空間が広がっている。樹海の様にも見えるそこはまた、神聖な場所の様にも見えた。

一人がホームの売店に行き、エビスビール500ml缶を8本買ってくる。

「なあ、これから久し振りに『ライオン』に行ってビール飲まないか」

緑色の「銀座」に繰り出す二人の後ろ姿。

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ゴジラ2010終】

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