不純物と免疫 02

◯ #トレーラー ヘッドフォンから流れる本展の概説が終わる。 暗闇に光る明るい矩形が入口だ。その奥に、有孔ボードを背にした幼児の背の高さ程の、灰色をした一本の細長い高圧気体ボンベが見えている。緑色(液化炭酸ガス)でも黒色(酸素ガス)でも赤色(…

不純物と免疫 01

◯ #共存 円周上に6つの点があるとする。それらを結ぶ線の数は15本という事になる。或いはまた、円周上に24個の点があるとする。それらを結ぶ線の数は276本という事になる。それは「不純物と免疫」展というパッケージを円周と見立て/単純化し、作家数6、作…

不純物と免疫「序」

◯ #多様 【知事】それから、ガラッと変わりまして、現代アート、現代美術の分野の新しい取組についてのお知らせです。これまで都は、トーキョーワンダーサイトの本郷、渋谷、墨田区立川、この三つの拠点を活用してまいって、若手アーティストの発掘・育成支…

引込線2017

2008年に行われた「所沢ビエンナーレ・プレ美術展2008 —引込線—」(以後「プレ展」)から始まった「引込線」。10年目となる今回の「引込線 2017」(以後「2017展」)は、その第6回目だという。 プレ展 2008年の「プレ展」と、翌年2009年の「第一回 所沢…

やわらかな脊椎

大寺俊紀+乙うたろう「やわらかな脊椎」展の周回軌道上をグルグルと周る。 尚、同展の作品はバッテリー上がりの為に撮影していない。下掲レビューや、美術手帖2017年10月号の副田一穂氏の月評(208〜209ページ)等に掲載の画像/写真を参考にして欲しい。 …

國府理「水中エンジン」redux

ラテン語の “reducere"(to lead back)から生まれたという “redux" は、様々に日本語訳可能な単語だ。 例えば「続編」としての “redux" がある。「前作」の主人公の「その後」を描くジョン・アップダイクの “Rabbit Redux" (邦題「帰ってきたウサギ」)な…

裏声で歌へ【後編】

【承前】 「間々田」の町が語り掛けて来るもので、既にお腹は一杯になってしまった。しかし展覧会は「別腹」だ。前者は「白米」の様なもので、後者は基本的にキュレーターと呼ばれるパティシエが作る「ケーキ」だ。 スポンジケーキとシャンテリークリームと…

裏声で歌へ【前編】

4月某日、JR東日本東北本線(愛称宇都宮線)の間々田駅――1日乗車人員数4,000人前後――を降車した。橋上駅舎の改札機に PASMO をタッチする。1,317円がマイナスされた。目指すべきは西口方向であると、型落ち iPhone 中の Google Map 先生が教えてくれる。遠藤…

クロニクル、クロニクル!(2017)

【序】 おばあちゃんのたんじょうび会がはじまった。お客さんが沖縄の楽器、三線で、“カチャーシー”をひくと、みんながおどりだした。おばあちゃんはかた手にムーチーをもちながら、おどっている。おばあちゃん、たのしそうだった。「いろんなこと、わすれた…

はならぁと こあ「人の集い」

我が国は2008年をピ―クに人口減少局面に入った。合計特殊出生率は、ここ数年若干持ち直しているものの1.43と低水準であり、2050年には人口が1億人を割り込み、約9700万人になると推計されている。また、これに伴って、人口の地域的な偏在が…

シン・ゴジラ

それから、大きな声が聖所から出て、七人の御使にむかい、「さあ行って、神の激しい怒りの七つの鉢を、地に傾けよ」と言うのを聞いた。そして、第一の者が出て行って、その鉢を地に傾けた。すると、獣の刻印を持つ人々と、その像を拝む人々とのからだに、ひ…

共にいることの可能性、その試み

それを見てから2ヶ月が経った。それについて書くのに2ヶ月を有した。書いては消し、書いては消しの日々が続いた。 2ヶ月前の事。「共にいること」がタイトルに含まれている眼前のその「展示」を、何処かで遠い過去に繋がったものの様に見ていた。まるで「幽…

キセイノセイキ

「MOT ✕ ARTISTS' GUILD の協働企画」である「キセイノセイキ」展は、「MOTアニュアル」枠に収めらている。 東京都現代美術館の学芸員のキュレーションによって「日本の若手作家による新しい現代美術の動向を紹介する」というのが「MOTアニュアル」のこれま…

奥村雄樹個展「な」

終了してから1ヶ月以上経過した展覧会について書く。椹木野衣氏によるそのレビューが掲載された、印刷版の美術手帖が発売されてからも二週間以上が経過した。その展覧会を「過ぎ去ってしまったもの」として見るならば、これを今書く事は単純に遅れていると言…

クロニクル、クロニクル!「後編」

【承前】 「クロニクル、クロニクル!」の「ルール」は、「ルール・1/『クロニクル、クロニクル!』は会期を1年間とする」、「ルール・2/「1年の会期のうち、展覧会を2度、名村造船所跡で行う」、「ルール・3/繰り返すこと、繰り返されることについて1年…

クロニクル、クロニクル!「中編」

【承前】 日本独自のステージカーテンの進化形式である緞帳(注1)には表面と裏面があり、その表面を見る者(客席側)と裏面を見る者(舞台側)がいる。客席側に華やかな刺繍絵画が施される一方で、舞台側は素っ気ないグレーの裏地や「火気厳禁」等の注意書…

クロニクル、クロニクル!「前編」

【承前】 ネスト 【 nest 】 入れ子 / ネスティング / nesting ネストとは、構造化プログラミングにおける、プログラムの構築手法のひとつ。複数の命令群をひとまとまりの単位にくくり、何段階にも組み合わせていくことでプログラムを構成する。このまとまり…

クロニクル、クロニクル!「長過ぎる序」

【長過ぎる序】 1月1日の「28年目」に続く文章がここに入る筈だった。それは「芸術」と「ひと」の関係を書こうとしたものだ。 そもそも「ひと」と関わり合う事でしか機能し得ない 「芸術」が認識している「ひと」、「芸術」にとっての「ひと」とは何なのだろ…

28年目

これもまた嘗てあった事だ。とは言え「つい最近」の話である。現在日本の「現代美術界」で「若手」と呼ばれている人達の多くが、この世に生を受けた後の話になる。少なくとも71年以上も前の事ではない。 ---- 日本の「80年代美術」はいつ「終わった」のだろ…

現実のたてる音

【承前】 現実のたてる音を「聞き」に展覧会に行くというのは、甚だ倒錯的な行為ではある。現実のたてる音ならば、わざわざ展覧会に行かなくても、既にそこかしこに〈現実のたてる音〉として存在しているからだ。 しかし求められなければならない倒錯という…

パレ・ド・キョート

【承前】 イベントについて VOXビル全体を使って、展覧会最終日である11月23日、深夜0時から夕方まで同時多発的に複数の出来事が発生する。それはフランスにある美術館パレ・ド・トーキョーの一時的なインストールになると思うので、タイトルを「パレ・ド・…

現実のたてる音/パレ・ド・キョート「序」

【長過ぎる枕】 尋牛序一 從來不失 何用追尋 由背覺以成疎 在向塵而遂失 家山漸遠 岐路俄差 得失熾然 是非鋒起 I Looking for the Cow She has never gone astray, so what is the use of searching her? We are not on intimate terms with her, because we…

躱す

馬鹿もほどほど いい加減にしろよ オケが終っても歌っていますあること無いことはじからポイポイ口先だけでゴロだけ合わせあたしゃ歌手です いい加減にしろよ......お風呂の加減はいかがです?いい加減です 所ジョージ「いい加減にしろよ」 ---- 展示室に入…

すくなくともいまは、目の前の街が利用するためにある

【枕】 「枕」は仮定の話になる。 或る古書店で古い洋書を買ったとする。その本がどういう経緯でこの店先に流れ着いたのかは判らない。そのページを捲って行くと、二葉の写真プリントが挟まれていた。 裏書めいたものは無い。一体何時頃の写真だろうか。少な…

「鳥肌実」

ここ数年はテレビのアンテナをすっかり折っている。最後に長時間テレビ番組を見たのは、アナログ停波から数年前の2007年頃だ。従って、それ以降のテレビの「有名人」は、自分にとっては「無名人」である。 商店の店頭等でしばしば見掛ける、揃いの格好をして…

窓と壁

【前説 1/3】 悲しくも人類にしか出来ない暴力の形。Sirens of the lambs : Banksy ---- 【前説 2/3】 “Güterwagen" =「貨物のワゴン」。このドイツ語は、日本語では通常「貨車」と訳される。 ポーランド南部の小さな村ブジェンジンカ(Brzezinka)村境沿い…

引込線2015

台風の影響による大雨の日に「引込線2015」の会場に行った。 車を「旧所沢市立第2学校給食センター」奥の駐車スペースに止めると、フェンスを隔てた畑ではこの雨にも拘らず、農機で土を掘り起こし始めているところだった。ファンタズムに陥り易い自分は、駐…

エンバレイン(中に入れる)

世界は、2020 年に東京で ひとつの TEAM になる歓びを体験する。 すべての人がお互いを認め合うことで ひとつになれることの その大きな意味を知ることになる。 その和の力の象徴として、このエンブレムは生まれました。 すべての色が集まることで生まれる黒…

ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours

国立国際美術館B2階のエスカレーター周辺は、実は結構好きな場所だったりする。インフォメーションやミュージアムショップやレストラン等のあるB1階とB2階を繋ぐ上下線のエスカレーターの脇(そこの丸柱に所在なげな「須田悦弘」がある)、B2階展示室とB3階…

おとなもこどもも考える ここはだれの場所?

狭義の「現代美術」の専門館として1995年にスタート(鈴木俊一都知事時代)した東京都現代美術館が、就学児の「夏休み」期間(7月〜9月)に「子供向け」(或いは「子供と大人向け」)の企画を初めて打ち出したのは、石原慎太郎都知事時代の2003年6月14日〜9…